喫煙と感染
2010.10.30
喫煙者が感染し易い原因として、喫煙の免疫生物学的作用によることが指摘されています。体内に入ったニコチン及びその分解産物コチニンは局所の免疫能低下を起こし細菌やウイルス感染感受性をたかめるとされています。また喫煙は白血球中のCD4リンパ球をふやし、ナチュラルキラー細胞活性の低下、粘膜免疫グロブリンの産生抑制作用などがあることから、喫煙者にHBワクチンを投与した場合抗体産生能力が弱いとされています。
喫煙は創傷治癒を障害します。組織の血流は、交感神経中枢および局所中枢あるいは自働調節系からの命令でコントロールされます。皮下組織には交感神経がもっとも高密度に分布しており、アルファ受容体の活性化によって組織血流が制御されています。またこうした組織は自動調節能も持っています。皮弁組織はタバコ煙に含まれるニコチンの血管収縮作用にとても反応しやすくなっています。喫煙者の血液には酸素よりも一酸化炭素の方が多く含まれているため、傷を直すために必要な酸素がとても不足します。傷の「つき」を決めるのはコラーゲン量です。血流と酸素があればあるほどこのタンパク質が皮下の創傷部にたくさん作られます。喫煙者では皮下組織のコラーゲン生成が少なく、創傷治癒が遅れることが明らかになっています。コラーゲンが不足すると、傷口が開きやすくなり、手術創面切除が必要となる場合もあります。喫煙は骨にも悪い影響を与えます。喫煙者は、ライフスタイルや遺伝素因にかかわらず明らかに脊椎疾患、腰痛症、椎間板変性にかかりやすいことがわかっています。タバコ煙には・骨のカルシウム濃度を減らし骨粗しょう症になりやすくする、・骨の内部の血流を減らす、・造骨細胞の活動を抑える、などの働きのある成分が含まれています。