非定型歯痛について
2011.10.31
「歯医者さんに行って歯を治療したけれども歯痛がとれない」
「歯を抜いたのに痛みが治まらない」
しかし、歯医者さんでいくら検査をしても歯痛の原因が見つからない・・・。

このような原因不明の歯痛のことを、「非定型歯痛」といいます。
非定型歯痛は原因がよく分からないにも関わらず、患者さんは歯痛を訴えるため、意味の無い神経の治療(根管治療)を繰り返したり、関係の無い歯を抜歯してしまったりということが少なくありません。
また、患者さんは、治療を何回繰り返しても治らない、何軒も歯医者に行っているのに治らないということからますます不安になってストレスがたまり、症状が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。非定型歯痛に対しては、歯科治療を行うこと自体が症状を悪化させる原因になってしまいかねませんので、痛みの原因が分からない歯に対しては慎重に対応しなければなりません。

<原因>
・ 精神的ストレス
精神的ストレスを感じると、それに伴って血中のカテコールアミンの量が増加   し、そのため歯の周囲の血管が充血して歯痛が引き起こされるという説。

・ 神経因性説
原因不明の歯痛を訴える人の多くは、過去に歯の治療を繰り返し受けています。この治療の際に、歯の神経から脳へ痛みを伝える神経伝達が混乱してしまうことにより、原因不明の歯痛が引き起こされるというの説。

<診断基準>
1. 鈍痛、灼熱性疼痛、拍動性疼痛
2. 痛みの強さは中等度
3. 持続性またはほぼ持続性の痛み
4. 局所において特定できる異常を認めない
5. X線写真で異常は認めない
6. 疼痛は4ヶ月以上持続する
7. 圧痛の感受性が亢進している
8. 神経ブロックの効果は一定しない
9. 鎮痛薬、外科的処置、歯科的処置では改善が得られない

<治療>
三環系抗うつ薬(アミトリプチリンなど)の投与か、これにメジャートランキライザー(フェノチアジン)を加えることで、良好な治療効果を得ることができます。アミノプチリンが有するノルアドレナリン神経伝達の増強作用、フェノチアジンが有するドパミン神経伝達の抑制作用が神経回路の混線を解消させるものと思われます。セロトニン神経伝達を高めるSSRIやセロトニンとノルアドレナリン神経伝達を高めるSNRIなどの新しい抗うつ薬も本疾患に効果があります。いずれにしても、副作用を抑えるために、抗うつ薬としての用量よりも低い用量から使用します。鎮痛効果が得られたら、徐々に減量します。完治までには半年単位の期間が必要であり、減量により再発が認められた場合は、さらなる維持療法が必要となります。