咀嚼とメタボリックシンドローム
2011.10.31
メタボリックシンドロームとはリンゴ型肥満(内臓脂肪型肥満)が主な原因になって、高血糖・高中性脂肪血症・高コレステロール血症・高血圧などの危険因子が重なった状態をいいます。日本人の多くは、このタイプの肥満が多く見られ、あまり太っているように見えない人でも、実は内臓脂肪がたくさん付いていて、メタボリックシンドロームになっている事がよくあります.これらの症状が重なると、糖尿病・脳血管疾患・呼吸器疾患(肺炎)・心臓循環器疾患など、命に関わる病気を発症しやすくなります。ある統計では、実に40歳以上の男性では2人に1人、女性では5人に1人が、メタボリックシンドロームが疑われ、またその予備軍といわれています。咀嚼と、メタボリックシンドロームは、直接関係がないように思えますが、じつは密接な関係があるのです。
健康な自分の歯でしっかり噛むこと、噛めることが身体にとってきわめて大切なことはお分かりだと思います。
食べ物を、しっかりゆっくり時間をかけて細かく噛み砕くことで、唾液の分泌が促されます。この唾液の中には、消化酵素があり、食べ物が胃にいってからの消化吸収が向上します。これにより、血糖値がすぐ高まり、満腹感が得られ、食事の量が抑えられます。
また噛むことによって集中力を高めたり、リラックスしたり、記憶力もアップさせることが最近の研究でわかってきています。さらに、咀嚼が脳内のヒスタミン神経系に作用し、これによって体内の内臓脂肪が燃焼することが明らかになりました。ヒスタミンは食欲を抑制し、エネルギーを貯めている白色脂肪細胞に作用して脂肪を分解し、さらに、分解しただけでなくその後の脂肪合成を抑制するのです。
ところが、咀嚼(噛むこと)が不十分だと、食べ物を丸呑みするのに近い状態となり、唾液も少なく胃や消化器官への負担が増し、血糖値の上がり方が遅くなり、ついつい食べ過ぎてしまうということになり、肥満の危険性が高くなります。咀嚼が不十分になる原因は、むし歯や歯周病により、噛めないまたは噛める歯が少ないことや丸呑みする癖があることなどが、あげられます。
また、最近の食品は、柔らかく食べやすく、あまり噛まなくても栄養の吸収の良いものが多くなっているため、丸呑み傾向が強くなって来ています。ですから、唾液の分泌が少なくなり、先に述べたように、肥満に繋がり、メタボリックシンドロームになって行きます。そうならない様に普段の食事の時は、時間をかけて意識してよく噛むように心掛けることが大切です。そのためには、よく噛める口の中の環境を整えることが必要で、痛くなくても歯科医院で定期的に健診を受けることがお勧めです。