噛むことの重要性について
2013. 1.30

食事は一生を通じての楽しみであり、生きがいのひとつともいえます。しかし、虫歯や歯周病によって若い時に歯を失い、咀嚼(そしゃく)機能を低下させてしまうと、食生活に支障をきたし、結果として健康な人生を送る上で、大きなハンディキャップを負うことになります。
 健康な歯、歯並びをいつまでも保つことは、全身の健康を維持する上で大切なことです。私達が生きるエネルギー源である食べ物は、まず口に入れ、各々の消化器官で吸収され、栄養となります。健康な生活を送るためには正しい食生活が大事ですが、食物を摂れば、それがそのまま全身の栄養となるわけではありません。食べ方や、いかに楽しく食べたかの心理状態にも大きく左右されます。
 そして歯で食べ物を噛み切ったり、噛み砕く咀嚼運動には重要な一面があります。食物を口の中で十分咀嚼することは、胃での消化をよくするだけでなく、後に続く小腸や大腸にも消化吸収の良い影響を及ぼします。この様に口から始まる消化器系の器官は一連のつながりがある家族のようなものです。そして‘’初めよければ終わりよし‘’と言われる通り、食物を口の中でよく噛むことが大切であり、そのためにも丈夫な歯が必要なのです。



〇物をよく噛むと、その刺激によって唾液が分泌されます。唾液には食べ物を滑らかにする作用のほかに、味をよくし、それによって胃液の分泌をさらに増加させる働きがあります。また、口の中でよく噛むと、脳へ食べ物の性質や咀嚼状態が報告され脳から胃へ消化のためのさまざまな指令が出されます。十分な咀嚼は、胃や他の臓器の消化吸収を高めます。




○ 咀嚼は、歯や顎骨、顎関節、また筋肉やその付近の組織の発育を正常にして、これを
健全に保っています。しかし、最近の軟食化傾向が噛む力を低下させたため、顔の幅が狭くなり、奥行きが浅くなり、面長な顔になりつつあります。またそのために、顎骨や歯槽骨の発育が悪く、不正咬合や顎関節症になりやすくなっています。その顎関節症から、頭痛や肩こりを、起こすことがあります。




○ 噛むことは、食べると同時に、歯肉の血行をよくし、歯や口腔を清掃する自浄作用の役目もしています。しかし、ここでも最近の軟食化傾向が、プラークを歯に付着しやすくし、この自浄作用を低下させて、虫歯や歯周病にかかりやすくしています。



○ よく噛むことにより、満腹感が得られ、肥満の防止にもなります。ろくに噛まないで流し込むと、満腹中枢に信号が届かず、量的にも多く食べることになり、肥満が進み、それが生活習慣病、成人病へとつながります。



○ 噛むという行為が、副交感神経を刺激し、興奮を鎮めたり、ストレスを発散させ、精神を安定させます。それで空きっ腹のイライラも治るわけです。



○ 噛むことにより、脳の血液循環を良くします。歯の悪い人は咀嚼(そしゃく)機能の低下を招き、胃や全身に大きな負担と影響を与えるため老けて見えたり、また、歯の無い人はボケやすいと言われています。義歯をいれ噛めるようにすると、ボケ防止になり、若返ります。




○ よく噛めば、唾液の分泌が促進され、身体に良い働きをします。若返りのホルモンともいわれる唾液腺ホルモンのパロチンは、歯や骨の成長や石灰化を促し、糖尿病や動脈硬化の予防にも影響し、また膵臓のインシュリンの分泌も良くします。さらに、ペルオキシダーゼという唾液中の酵素は、食べ物に含まれる発癌性を予防します。
 このように、良い咀嚼習慣は、健康を保つ上で、とても重要であります。