歯周病と全身疾患との関連
2003.12. 6
歯周病は、細菌感染を原因として起こる慢性の炎症性疾患ですが、その発症や進行過程には宿主(生体)の感受性(抵抗性)が影響し、さらに遺伝的因子や環境的因子などが大きく関係しています。ある疾患の発症や進行を規定する因子、あるいは発症や進行を予測する因子を危険因子といいます。現在、歯周病の2大危険因子として認知されているのは、喫煙と糖尿病です。しかし、歯周病の発症・進行に影響する可能性を持つすべての全身的要因を、危険因子群として考えます。また、歯周病がその全身的な危険因子群の影響を受けるだけでなく、最近、歯周病そのものがそれらの危険因子群の危険因子として注目されてきています。現在では、糖尿病、冠動脈性心疾患、呼吸器疾患、妊娠にまつわる合併症そして骨粗しょう症などと歯周病との関連が示唆されてきています。

● 糖尿病と歯周病
 糖尿病には、インスリン依存型とインスリン非依存型がありますが、ともに歯周病の重要な危険因子とされ、糖尿病の罹患期間とコントロールの状態により危険度も左右されます。糖尿病患者の付着歯肉の喪失は糖尿病でないものよりい大きいという報告もあります。また、細菌に感染した状態(コントロールされていない歯周炎)ではインスリンに対する抵抗性が悪くなり、血糖値が高くなりやすくなることがわかってきました。さらに歯周炎に起因する咀嚼障害により、食事療法や薬物療法を正しく進められなくなります。つまり、歯周病を放置すると糖尿病そのものに悪影響を与え、血糖コントロールが悪くなる為に、さらに歯周病が進行しやすくなります。

● 冠動脈性心疾患と歯周病
 「高血圧・高コレステロール血症・喫煙・一般的慢性感染症など」とともに、近年は「歯周病」も危険因子のひとつとして考えられるようになりました。冠動脈に病変をもった為に腹部・胸部大動脈瘤切除術を受けた患者に対して一部の冠動脈組織中から歯周病菌の存在も確認されています。

● 呼吸器疾患と歯周病
 高齢者の肺炎の多くが誤燕性肺炎と考えられています。誤燕しやすい高齢者は誤燕を繰り返し、肺や気管支に口腔細菌が流入し、それが起因菌となって誤燕性肺炎を発症します。予防の1つとして口腔ケアの重要性が指摘されています。実際に口腔ケアを行う場合、高齢者の口腔内は残存歯数や位置、歯周疾患の程度、義歯の有無などによって異なるので適切なケアが重要になってきます。

● 妊娠と歯周病
 妊娠中はホルモンの変化により歯肉炎などを引き起こしやすくなってきますが、進行した歯周病があると低体重児(未熟児)を出産するリスクが高く、また早産も多くなるという報告もあります。

● 骨粗鬆症と歯周病
骨粗鬆症は、単なる「骨の老化現象」ではなく、骨の病的変化を主とする疾患です。積極的な骨粗鬆症が行われていくにつれて、歯の喪失、無歯顎化、歯槽骨の吸収およびアタッチメントロスに対して、抑制的な効果があることが報告されています。さらに高齢の骨粗鬆症が疑われる方々には、発症した歯周炎がより進行しやすい可能性があります