歯牙・歯周組織の痛みについて
2004. 5.22
歯牙・歯周組織の痛みの原因にはいろいろありますが、その痛みを速やかに
取るためには、処置の前にまず的確な診断を下し、その疾患に合った処置が
必要になります。その診断を下すためにはまず、問診か診査によってデータ
を収集する必要があります。
その際、ただ漫然と診査を行うのではなく歯牙・歯周組織に生じる痛みの原因
疾患(表1)を念頭において問診・診査を行っていく必要があります。そして
得られたデータから総合的に判断して診断を下しています。

表1
   歯牙・歯周組織の痛みの原因疾患
@ 歯牙の痛み
1歯髄炎
2根尖性歯周炎
3知覚過敏症
4歯内―歯周関連病変
5歯牙破折
6その他
A 歯周組織の痛み
1辺縁性歯周炎
2咬合性外傷
3歯内―歯周関連病変
4智歯周囲炎
5その他


診査について
1. 視診
まず、歯牙及び歯周組織の状態を視診によって確認します。すなわち、う窩や修復物の状態、歯質に亀裂や破折線がないか、楔状欠損の状態などを視診します。歯周組織については、歯肉の発赤、腫脹およびろう孔の有無を確認します。
膿瘍・ろう孔が認められる場合には、その位置及び範囲によって原因疾患を鑑別します。すなわち、膿瘍・ろう孔が辺縁部歯肉に存在する場合には歯周病変由来が、根尖部歯肉に存在する場合には歯内病変由来が疑われます。

2. う蝕の範囲の診査及びポケット測定
探針などでう蝕の状態を診査します。う窩が深かったり、広範囲に拡がっている場合には、歯内病変が原因疾患となっている可能性があります。逆にう蝕が認められず、深い歯周ポケットの存在など歯周病変を疑う所見が見られた場合には、歯周病変由来であることが多いです。

歯周ポケットの深さの測定


3. 打診
当該歯の垂直打診・水平打診を行います。一般的に垂直打診がある場合には根先病変の存在が、水平打診がある場合には辺縁部歯周病変の存在が疑われるとされています。
4. 動揺度
当該歯の動揺度を診査します。
5. エアーによる診査
エアーを吹き付けることによって痛みが誘発されるかどうかを診査します。
6. X線診査
X線写真によりう蝕、根尖病巣、破折線の有無、辺縁部歯槽骨の吸収などの状態を診査します。X線写真は情報量に富む診査法であり、診断を下す際には有力なデータ・ソースとなります。
7. 電気歯髄診査
電気歯髄診断機を用いて歯髄の生死を判断します。反応がまったくなかったり、比較的大きな値で反応を示した場合には歯髄壊死もしくは歯髄壊死しつつあると診断して根管治療を行います。また逆に歯髄が生活していると判断された場合には歯周病変由来を疑います。


電気歯髄診断機


検査時の様子

これまでの問診、診査などから総合的に診断し原発病変が特定できたら、その病変に対して治療し除痛を図ります。ただし歯内―歯周結合病変由来で急性症状が生じている場合には、まずその急性症状の原因としてどちらの病変が主体となっているかを判断してから除痛処置を行います。そして症状が落ち着いついた後で本格処置を開始します。