金属アレルギーについて
2005. 3.11
金属アレルギーについて
原因 
金属アレルギーは金属との接触から起こるわけですが、実は金属そのものは人体に対して無害と言われています。金属がイオン化し、溶け出すことではじめてアレルギー反応を引き起こす原因となるのです。金属のイオン化したものが、皮膚(表皮〜粘膜上皮)の蛋白に結合して本来、体がもっていない表皮構造の蛋白ができあがると免疫がこれを異物とみなして、拒絶反応を起こします。金属イオンをまわりに結合させた表皮蛋白はいわば金属メッキした表皮蛋白ですから、これは体にとって当然異種蛋白とみなされるわけです。
お口の中の金属は、唾液や食べ物などが電解質として作用することで腐食性変化を生じ溶出されます。また口腔内にはそれ以外にも、各種の溶出要因が共存しています。歯肉から浸出する体液、食べかすによる電解質の存在。細菌が産出する酸や硫化水素。温度や酸素の濃淡などの変化。咬む力が働く部分の金属に起こる応力腐食や咬耗など口腔内はさまざまな要因が複雑にからみあった、金属にとって極めて過酷な、溶出が起こりやすい環境なのです。また種類の違う金属の間には、電位差が生じ、そのため一定の大きさと方向をもつ電流が起こり(ガルバニー電流)金属の溶出の大きな原因となっています。その電気的な刺激は扁平苔癬や白板症などの原因といわれるほか、味覚異常、感覚異常など生体に悪影響を与えます。
金属間に起こる電流の大きさ等は金属の取り合わせによって異なりますがその際、より異なる金属(アマルガム、銀合金など)のほうが、溶出傾向が強くみられます。

          口腔内の金属

アレルギーの原因となる金属では、ニッケル、クロム、コバルト、水銀の頻度が高く、またアルミニウム、亜鉛、パラジウム、ロジウムなども原因にないやすいものです。反対に貴金属である金やプラチナはアレルギーになりにくい金属です。また、インプラント(人工歯根)の材料に用いられるチタンもアレルギーを引き起こしにくい、極めて耐食性の高い金属で生体への親和性の高さからバイオメタルとも呼ばれています。

症状
お口の中の金属によって起こる代表的な病変には次のようなものがあげられます。
味覚異常
金属の電気的な刺激による異常感
口腔粘膜や舌に起こる灼熱感や疼痛
金属の成分が溶出し歯肉のメラニンが活性化することで起こる色素沈着     
歯の変色
舌炎、口内炎、口唇炎
アレルギー性接触皮膚炎
局所、全身へのじんましん
金属が直接触れていない部分への皮膚炎
扁平苔癬、白板症
口腔内の金属による病変は口の中に接触部分の炎症のみにとどまらず、さまざまな悪影響を全身に与えてしまう可能性のあるものです。

治療
まずは、何がアレルギーの原因になっているかを調べなければなりません。原因物質の特定は、パッチテストにより調べだす事ができます。
(パッチテスト=原因と考えられる金属の塩化物や硫化物の試薬を体にはり、48時間後赤みや腫れなどの有無を調べる)
原因となっている金属がわかったら、それを除去して代替材料に交換する必要があります。代替材料には強度に優れ、腐食に強い性質が求められる事から、原因物質が含まれない純度の高い貴金属やチタン、非金属のセラミックやハイブリッドセラミック、レジン(歯科用プラスチック樹脂)が使用されます。
レジン  
すべての症例に適応。しかし劣化しやすく奥歯には不向き。保険適用
金属   
金やプラチナ、チタンは安全性が非常に高いがまれにアレルギー反応を起こす人もいます。保険は適用されません。
セラミック 
セラミックは生体親和性が高く耐食性にも優れており材質・審美面とも理想的。ただし症例を選ぶ必要があり、健康保険は適用されません。

お口の中にある金属の詰め物や冠を除去すると、数ヶ月後には症状が好転した症例が多数あります。しかし歯科金属アレルギーの詳細なメカニズムはまだ解明されていません。治療経過については個人差が大きく除去しても好転しない人もいます。あくまでアレルギーを起こす可能性のひとつとお考え下さい。