口腔乾燥症について
2005. 6.28
日常生活の中で「喉が渇く」ということがありますが、これは「口渇」で主に自覚的な乾燥感を表現するときに用いられます。一方「口腔乾燥症」とは口腔内が乾燥している状態を意味する症状名です。口腔乾燥症は唾液の分泌量が減少して口腔内が乾燥する病気ですが、唾液腺分泌量に影響する因子として年齢、性別、唾液腺の炎症や腫瘍、シェーグレン症候群、糖尿病などの代謝性疾患、栄養障害、薬物の服用、情緒的因子などがあげられます。

口腔乾燥症の症状
 初期 乾燥感、灼熱感、味覚の消失・変化、唾液が泡っぽくなる、湿らせないと咀嚼や嚥下がしにくい、乾燥食品の嚥下がしにくいなど
症状が進むと
 唾液腺機能の低下、舌乳頭が萎縮し赤っぽくツルツルしてくる、口腔粘膜がひからびる、歯頸部のう蝕の増加、舌に溝ができてくる(溝状舌)、義歯固着の低下、唾液の清浄作用や抗菌作用の低下による口腔・咽頭部のカンジタや鵞口瘡などの感染症の増加など
口腔乾燥症への治療と対応
 口腔乾燥症の治療としては、診査により唾液分泌低下が見られる場合、原因・誘因を明らかにし、原因を除去することにより唾液分泌を改善する「原因療法」と、口腔乾燥症状態の苦痛を和らげる「対処療法」があります。

原因療法
● 薬物の副作用の除去・軽減を図る方法
   抗パーキンソン剤、抗ヒスタミン剤、抗うつ剤、降圧剤、利尿剤、精神神経用剤などの服用で口腔乾燥症が発症しやすくなるといわれています。原因薬剤の減量・変更・中止は主治医と考慮しますが、現実には全身疾患との関連や主治医の治療方針との関連から変更不可能な場合が多いといわれています。その際は対処療法で対応します
● 唾液分泌を促進する薬剤を処方する方法
   疾患により唾液分泌促進剤を選択する必要があります。
● 水分補給による方法
   脱水などによる急性の口腔乾燥症に対しては有効ですが、慢性の口腔乾燥症には効果は少ない。

● 口腔機能の改善、リハビリテーションを図る方法
   顎下腺や耳下腺、舌下腺を指などで軽く圧迫しながらマッサージする唾液腺マッサージや舌体操、口腔体操などが唾液腺を刺激するため効果的といわれます。義歯は食事以外の安静時であっても、咬合の高さを維持して唾液腺にもよい刺激を与えるので、嚥下機能や咀嚼機能のリハビリテーションとして重要です。この場合、保湿剤「オーラルバランス」などを義歯粘膜面に塗布して装着すると効果的です。

         唾液腺マッサージ

    耳下腺

    顎下腺

    舌下腺


● 口呼吸の改善を図る方法
   口腔乾燥症が口呼吸やいびきと関連している場合は口唇閉鎖や口唇テープの応用などが効果的です。しかし、意識レベルの低下した患者さんには常時開口状態が多く改善については今後の課題となっています。
● 生活習慣や体質の改善を図る方法
   唾液分泌低下や口腔乾燥は、ライフスタイルや体質と大きく関連しているため、生活習慣は栄養バランス、嗜好品などについての指導を行なう必要があります。

対処療法

口腔内の保湿のためには水分、また人工唾液や湿潤剤配合の洗口液などが使用されます。このような湿潤作用から口腔粘膜の保湿や保護に使用でき、義歯の疼痛にも効果的で、重度の口腔乾燥の患者さんに有効といわれています。保湿効果があるとされる「オーラルバランス」は粘膜表面に停留しやすいので、義歯床粘膜面や乾燥した口腔粘膜に塗布すると有効といわれています
    保湿剤