『インフルエンザの予防に歯磨きが効果的なわけ』
2006. 3.10
今年の冬もインフルエンザが猛威を振るいました。週末に報告される子供の感染症では今回(2月20日〜26日)インフルエンザが第2位でありピーク期を過ぎましたが、まだまだ寒い日もあり油断はできません。インフルエンザウイルス感染予防にお口のケアが影響しているということを究明しているグループがあります。インフルエンザウイルスはA型、B型およびC型があります。寒い乾燥した環境で感染を拡大します。インフルエンザウイルスの構造は図1に示すように、2種類の突起HA(赤血球凝集素)とNA(ノイラミニダーゼ)という“鍵”と“はさみ”があり細胞に侵入し爆発的に増えます。1個のウイルスが24時間で100万個にも増殖するといわれています。また、インフルエンザウイルスが細胞内に侵入して増殖するにはウイルス表面の突起が切られている必要があります。その突起を切る重要な役割を持つのが、プロテアーゼという酵素です。この酵素をつくるのに口の中の細菌が関係していることが究明されてきました。

歯周ポケット、咽頭にインフルエンザウイルスの働きを助けるノイラミニダーゼやプロテアーゼをつくる細菌群が多い場合粘膜が荒らされインフルエンザウイルスの吸着侵入を導いています。

図1インフルエンザウイルスの構造図(奥田克爾先生のバイオフイルムより引用)



実証例
東京歯科大学大学院の奥田先生のグループは、2003・2004年の冬の期間、デーケアに通う要介護高齢者に週1回歯科衛生士が口腔ケアを実施。その結果、口腔ケアを実施しなかったグループと比べてインフルエンザ発症率が10分の1であった。唾液中のプロテアーゼ量も減少した。

口腔ケア・・・歯ブラシ・歯間ブラシ・デンタルフロスによる清掃。粘膜・舌・義歯の清掃

特効薬『タミフル』・・・ロシュ社 中外製薬
 特効薬として知られるタミフルは、インフルエンザウイルスのNA(ノイラミニラーゼ)のはさみをブロックする働きがあります。急な発熱、頭痛、筋肉痛の症状が出たら要注意です。発症後48時間以内に服用すればウイルスの増殖を抑えられます。


松井歯科医院にメインテナンスで通院中の特にお口の清掃状態が良好な患者さんに聞いてみました。『インフルエンザウイルスに感染したことありますか』すると、10年以上風邪ひかないとかインフルエンザにかかったことないというお答えをいただきました。さすがだと思いました。ただ、今年の冬は全体として風邪によるキャンセルが多かったのも事実です。歯周病のメインテナンス時は歯周ポケットの細菌レベルを下げるに止まらず、粘膜や舌のケアにも目を向けていこうと思います。