義歯の安定について
2013. 8.30
(1)義歯不適合とは
 一般に、問題なく咬める義歯は合っていると考えて良いと思います。一方、痛みがあったり口の中で動いて困る義歯は、合っていないと言えます。安定の良い義歯は、実際に食べる時も安定している義歯であり、このような義歯は、疼痛が少ないようです。しかし、安定の良い義歯でも疼痛が生じることがあります。それは、粘膜の厚さが薄くなって、傷が付きやすくなったりした時です。このような場合には、少しの圧力変化でも粘膜に傷がついて、感染を起こして腫脹するために義歯性の疼痛が生じます。このような場合には、義歯が合わなくなったのではなく、顎提が合わなくなったのです。また、顎の骨が高度に吸収している場合では、義歯作成が困難になります。粘膜が薄く傷つきやすい場合も同様で、口腔乾燥や清掃不良が原因で生じることも多くあります。日常の義歯使用法が不適切であると、細菌感染や血行不良などで炎症や顎骨吸収を起こします。義歯使用で、残存歯が伸びてみえる症例がありますが、これは、口腔ケアの不良等で、顎骨吸収が生じ、義歯が低くなった場合に多いようです。

(2)義歯の安定   
 安定の良い義歯は、口を軽く開けても、落ちない。何も食べない状態で上下をかみ合わせても義歯が動かずに安定して、痛みがない。食物が口腔内に入った状態でも義歯がずれず、痛みがない。このような場合義歯が安定してると言えると思います。
 義歯が不安定な場合や、疼痛がある場合には、義歯が動揺したり、動きすぎている場合が多く、粘膜の状態が良好な場合には、義歯不適合の原因にはなりにくいですが、口腔粘膜が薄くなって義歯と適合しにくくなると、奥歯で咬合する事で、義歯が動くようになります。これは、顎堤部が斜めになっていることに起因している場合が多く、このような症例では、義歯人工歯の調整が必要となります。   
 義歯が動く原因として多いのが、顎堤と人工歯の位置がずれている場合で、このような場合には、義歯人工歯の位置を再調整するか、人工歯の位置を変更します。

(3)義歯と口腔環境
 義歯使用の指導では、義歯の適合度を判断する必要があります。口の中をみて、顎提が十分にある場合は義歯の安定も良くなりますが、顎提がほとんどない状態では、義歯安定は困難になります。粘膜に炎症がある場合や口腔乾燥があると義歯が安定しません。
 寝たきりの患者さんや全身状態が低下している患者さんは、口腔乾燥や唾液分泌低下の場合が多く、粘膜が弱くなります。このような場合には、適合の良い義歯でも痛みが出てきます。粘膜に潰瘍や感染症がある場合には粘膜の治療が必要になります。