QOL(生活の質)と口腔環境について
2010. 8.29
う蝕(ムシ歯)及び歯周病に代表される歯科疾患は、その発病、進行により歯の喪失につながります。歯の喪失は、食生活や社会生活等に支障をきたし、ひいては、全身の健康に影響を与えるとされています。歯及び口の中の健康を保つことは、単に食物を咀嚼(かみ砕くこと)するという点からだけでなく、食事や会話を楽しむなど、豊かな人生を送るための基礎となるものです。
 高齢者(80歳)において、歯の喪失が少なく、よくかめている人は明らかにQOL(生活の質)及び活動機能が高く、運動・視聴覚機能に優れていることが明らかになっています。また、要介護者における調査においても、口の中の衛生状態の改善や、咀嚼機能の改善を図ることが、誤嚥性肺炎の減少や、ADL(日常生活動作)の改善に有効であることが示されています。 歯の喪失が健康状態に与える影響は、あらゆる世代に認められますが、特に、歯の喪失が多くなる中高年期では、咀嚼機能の低下が食生活、栄養摂取の障害を通じて健康に影響をもたらすばかりでなく、日常生活、社会活動、家族関係や精神面にも影響します。特に、要介護高齢者では、この傾向が顕著に表れます。

 歯の喪失による咀嚼機能の低下に対しては、義歯を入れる等の処置が有効で、よく調製された義歯を装着することで、通常の食事は十分に可能であり、このため、食生活・栄養状態の改善、身体機能の維持、QΟL(生活の質)の向上に寄与できます。また、要介護高齢者に対する適切な歯科保健医療サービスが寝たきり防止対策としても有効です。
 う蝕、歯周病、歯の喪失に対しては、適切な処置を行い、咀嚼機能の回復・維持に努めることが大切です。