糖尿病と感染
2010. 9.30
糖尿病の人は感染症にかかりやすいことが知られています。
歯科の領域では歯肉炎、歯周炎、外科処置後の易感染性と多いに関連しています。また、感染症が急速に重症化することも多く、回復には時間がかかります。そして、感染症にかかると血糖値が普段以上に上昇するので、コントロールが悪化し、糖尿病そのものにも影響がでてきます。

糖尿病の人が感染症にかかりやすく悪化しやすいのはなぜでしょう。
人間のからだは、体内に侵入しようとするウイルスや細菌と常に戦っています。これを感染防御機構といいますが、糖尿病では次のことから、感染防御機構が容易に破綻してしまいます。


@ 好中球の貪食機能の低下
好中球は白血球の成分のひとつで、体内にウイルスや細菌が侵入すると、それを取り囲んで食い殺します(貪食〈どんしょく〉)。血糖値が高くなると、この機能が低下します。


A 免疫反応の低下
免疫反応とは、一度感染した病原体に対し、体内でそれに対する抗体が作られ、次に同じ病原体がからだに侵入しようとしたときに、それを防ぐように働く仕組みのことです。高血糖では、この免疫反応も弱くなっています。


B 血流が悪くなる
高血糖では、細い血管の血液の流れが悪くなります。このような状態では、酸素や栄養が十分に行き渡らず、細胞の働きが低下したり、白血球が感染部位に到達しにくくなって、感染しやすくなります。さらに、感染で受けたダメージの回復にも時間がかかり、抗生物質などの薬物治療でも、薬が感染部位に到達しにくいため、薬の効果が弱くなります。


C血糖値がより上昇する
一度細菌類に感染すると、インスリンを効きにくくする物質(サイトカインなど)が多くなって、血糖値は普段よりも高くなります。このことが糖尿病の状態をより悪くしてしまい、感染症をさらに進行させてしまうという悪循環が生まれます。